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コンビニ人間

芥川賞を受賞された、村田沙耶香さんのコンビニ人間を読みました。

コンビニ人間

コンビニ人間

いろんなところで話題になってますが、作者自身がコンビニでバイトしながら書かれたということで店内の描写などやバイトの様子がとてもリアル。コンビニでバイトしたことはないですが、この描写のリアルさが気味の悪さを出しています。

主人公はいわゆる「普通」じゃない。普通に大学でて、就職して、結婚して、、。それが出来ない人は普通じゃない。異質な存在。
でもコンビニというマニュアル化された世界で生きることに、存在を見出しているのです。
主人公は普通じゃないと言われて、「治す」と言われたりしているのですが、読んでいるとなんだかわたしも主人公に近いものを感じて、怖くなってしまいました。

いまの日本は一度でも道を外れると、戻ってこれない社会と言われています。学校を中退したり、就職に失敗したり、そうすると、いわゆる普通の人生は難しくなるのです。排除されてしまいます。でも、みんなその普通の人生を過ごしたいと思っているのでしょうか。普通ではないこと、それに価値を見出せないこと、普通になれないこと、みんなとは同じではなくなること、それが怖いのだと思います。

わたしはまだ社会に出てはいませんが、何か自分らしくないことを頑張らないといわゆる普通にはなれないと感じています。そして、主人公がずっとわからないでいるように、見本を欲しがっているのです。でもそんなものどこにもありません。みんなステレオタイプな幸せがほしくて、そうなることが理想だけれど、誰も教えてはくれませんし、正解もないのです。ぬるい不安に浸かっているようで、ゆっくりと死んでしまいそうです。

結局は再びコンビニで働くことを選んだ主人公。側から見れば悪い選択としか思えません。しかし、自分が必要とされると、嘘でも感じられる場所に戻るという選択は、自分自身にとっては悪いものではなかったのでしょう。